輪投げ事始めいきさつ当方が所属する自治会の老人クラブにて輪投げの会を立ち上げることになり、適当な世話役が見つからず、ひょんなことから拙者にその役がまわってきました。子供の頃に遊んだ記憶がある程度で、「輪投げ」をスポーツとして扱う競技があるとは知りませんでした。 地域での競技会に留まらず、成績の良いクラブは上部組織の市・区老連や東老連にも勝ち進めるような組織運用も有るようです。 老いてからは囲碁などを嗜んでおりますが、体をあまり使う機会も減っており、健康に少しは良いかと思って、喜寿の手習いではありませんが、始めることに致しました。 「輪投げ」の輪の投げ方もいろいろ調べて見ると、種々のテクニックがあり、高得点を出すにはそれなりに技術が要ります。輪投げ愛好者の参考になればと、拙者の知る範囲でまとめてみました。 歴史輪投げはウィキペディア(Wikipedia)によりますと次のように書かれています。注1投輪(とうりん)は、大正の頃に神戸港に入港する船上で行われたのを始まりとするスポーツです。 8.5メートル手前から、9本のゴム製の輪を投輪専用の台に向かって投げる。投輪専用の台には、ピンが9本あり、ピンには1から9までの数字がつけられている。輪の重さは180グラムです。 競技は、投げ込み・シングル・ダブルの3種類。「投げ込み」は輪が入ったピンの数字の合計が得点となる。「シングル」はピンの数字の合計が得点となるが、一つのピンに2本の輪が入ってしまうと失格となる。 そのため9本全部を投げずに、途中でやめることもできる。「ダブル」は輪が2本入ったピンの数字のみを合計して得点とする。こちらは、一つのピンに3本の輪が入ってしまうと失格となる。 そのため、シングル同様に途中でやめることもできる。 神戸市を中心に競技が行われている。神戸投輪連盟と神戸市スポーツ教育協会による大会が、王子スポーツセンターで年数回開催されており、毎年6月辺りに知事杯、10月辺りに市長杯が開催されている。
History of Quoits in Kobe (Kobe Rokko - NHK World Japan) 編者注1:ウィキペディアは「神戸投輪連盟」ルールについてのみ書かれていて、現在日本で一般的に行われている「国際輪投げ協会」や「日本ワナゲ協会」のルールとは少し違いがあります。 海外での輪投げ事情![]() 日本での輪投げの始まりは、遠洋航海をする船乗り達が船上ではあまり運動をする機会がないため、甲板上で運動を兼ねて輪投げをして楽しんいる外国船員達の姿を見て、 神戸に上陸する日本人船員達によって日本にもたされたようで、発祥はヨーロッパ(イギリス?)のようです。 しかし、輪投げの起源は古くはギリシャ時代やローマ時代に遡ります。 「輪投げ」は英語では「Quoits」、「Ring Toss」、或いは「Hoopla」と呼ばれておりますが、日本で一般的な投輪用の台に9ピンのスタイルのものはあまり見かけ無いようで、 日本に近いものとしては幅の狭い板を十字にクロスさせたものに、板の先端とクロスの中心に計5本のピンを挿したものが使われているようです。輪は縄をリング状にしたものが多い。 但しこのタイプの輪投げは余興などに使われるのが主で、公式なスポーツ大会などはないように思われます。 ![]() 欧米で「輪投げ」と言えば古くから「Horseshoes」か「Cast Iron Ring Quoits」を指すくらい有名で、愛好クラブなどの競技会が行われるのはこちらの方です。 米NHPA(National Horseshoe Pitchers Association)傘下には1,500万人以上の人が競技会などを行っているそうです。 「Horseshoes」は文字通り馬の蹄鉄を使って投げるもので、蹄鉄(本物の蹄鉄や蹄鉄状の金属製品)はリング状ではなくU-字型をしており、重量があります。 又、「Cast Iron Ring」は鋳鉄で出来ており重さのあるリング状をしております。リングは平べったくなくドーナツを水平に輪切りしたような形をしております。(古代では当初蹄鉄はリング状だったそうです) これらは地面上に設けられた一本のピン(Stake)に向かって投げ、必ずしもピンに入らなくても、決められた距離内に入ったり、ピンに近い方が得点になるなど独特の得点方式が決められております。 競技は普通2人(Singles)、又は4人(Doubles)で行われ、2投ずつ交互で投げる。投輪後リングを回収する手間を省くためピン(Stake)はコース両端に設けられており、相手と向き合って投げ、 リングを相手と共有で使用する。男子はピン(Stake)まで37feet(12m)の位置にファウルラインが、女子用には普通27feet(9m)にセカンド ファウルラインが設けられている。 ゲームは21点を先に取った方が勝ちとなり、1セットが終了となります。 ![]() ![]() ![]()
Horseshoes pitching in USA Quoits - a traditional game in England
(Skagit Valley Horseshoe Club) (LeedsLocalTelevision) 日本での輪投げ事情![]() ![]() 先にも触れたように日本では大正の頃に神戸港に入港する船により広まったのだが、現在「国際輪投げ協会」や、「日本ワナゲ協会」、その他の協会/連盟が普及に務めており、 それぞれの協会により多少の輪投げセットの規格や適用するルールに違いがありますが、輪投げ盤上に9本のピンを設け、投げたリングが入ったピンに振られた数字の合計で得点とする方式を取っており、基本的には同じです。 左右の挿絵で分かるように、左が「国際輪投げ協会」の、右が「日本ワナゲ協会」が標準としている輪投げセットですが、ピン番号の付け方やリングのカラーの振り方とその個数、リングの直径・重さ・材質等も微妙に差異があります。 協会が「国際」や「日本」と謳っているが、外国で日本の輪投げセットが普及している訳でもないと思うので、余り言葉に意味はないと思われます。 しかし、東老連や傘下の区・市老連の大会では「国際輪投げ協会」指定の道具およびルールが適用されており、競技会を目指している方は、どの競技会なのかを考慮する必要があるかと思います。 当方の印象では、「国際輪投げ協会」は技能・スポーツ性に重きを置いており、「日本ワナゲ協会」は万人向き親しみ易さ・娯楽性に重きを置いているように感じます。 違いに関しては拙者が後述「各協会間の用具の違いについて」の項にてまとめてみましたので、そちらを参考にして下さい。 国際輪投げ協会指定の道具と公式ルール![]() ![]() ![]() ![]() ![]() なお、公式ルール詳細に就いてはこちらのPDFをご覧下さい。 又、輪投げ台の組立方はこちらのビデオをご覧下さい。 試合に使う得点表はこちらのPDFを印刷してお使い下さい。 国際輪投げ協会のホームページはこちらです。 日本ワナゲ協会指定の道具と公式ルール![]() 日本ワナゲ協会のホームページはこちらです。 なお、公式ルール詳細に就いては、「公式ワナゲハンドブック」として協会が有料販売(700円、税込・送料別)しており、 必要な方は購入されたら良いと思います。講習用DVDも販売しているようです。 ホームページには「協会の沿革と概要」と 「競技用具と競技方式」 で簡単な解説が記載されておりますので、そちらを参照ください。 ![]() ![]() ![]() ![]() 各協会間の用具の違いについて![]() ![]() ![]() ![]() 輪投げの投げ方輪投げの投げ方は投輪ラインから投輪台までの距離によって最適なスタイルが影響を受けることがあります。その理由は短い距離で入り易い投げ方が、長い距離から同じように投げてもピンに届かなかったり、強力な力を要する必要があって、 上手く行かない事があり、距離に応じたフォームで投げる必要が有ったりします。 まず、国際輪投げ協会ルールでの子供やシニア向け(3m)や、日本ワナゲ協会の公式ルールに使われる2mの短距離の場合の模範を 亀井千春さんの例で見てみましょう。(中日新聞デジタル編集部)
輪投げのコツ-亀井千春さん
次に、輪投げ発祥の地の神戸で行われている、8.5mの長距離投輪の場合の模範を植松計邑さんの例で見てみましょう。(神戸市広報)
投輪への誘い-植松計邑さん
投げ方には下図の説明図のように「正面投げ(Center flip throw)」と「横投げ(Side flip throw)」の2大投法があります。注2 編者注2:「正面投げ」と「横投げ」の分類は、投輪時のリングが投輪ライン上にあると「正面投げ」、投輪ライン上を外れていると「横投げ」と決めているようで、 私見ではあるが、むしろ投輪フォームで命名した方が分かり易いように思います。 日本に於ける野球での、オーバースロー、サイドスロー、アンダースローの3大投法の命名例のように、「正面投げ(Center flip throw)」、 「横投げ(Side flip throw)」と「振り子投げ(Pendulum swing throw)」の3タイプに分けて呼んだらどうかと思います。(当ページでは使用している) なお、Overthrow や Underthrow と云う英単語はありますが、’暴投’、’飛距離不足の投げ’の意味で、野球で使われているオーバースロー、 アンダースローは和製英語だそうです。(そのため、'アンダースロー' は使わず '振り子投げ' を採用しています) ボーリングの投げ方に似ておりますが、ボーリングでは Pendulum arm swing と呼んでおります。 投法について「日本ワナゲ協会」等によると次のような短い解説と図が記載されています。 ![]() 編者注3:上図の「正面投げ(センターフリップ投法)」は当解説では、 「正面投げ」を二つの投法に分けているため「振り子投げ(Pendulum swing throw)」になります。 ![]() 編者注4:上図で「垂直に構えた場合」、「平行に構えた場合」、「平行に構えた場合2」は編者解説では、 「横投げ(Side flip throw)」、「正面投げ(Center flip throw)」、「振り子投げ(Pendulum swing throw)」としています。 輪投げ投法に於ける長所・短所について輪投げに於ける3大投法、「横投げ(Side flip throw)」、「正面投げ(Center flip throw)」、「振り子投げ(Pendulum swing throw)」には、それぞれ長所と短所があります。 自分の技能、体力、投法の利点・欠点を考慮して最適な方法を見つけ出してください。細かくはそれぞれの投法にも、足・体の向き・構え、膝の使い方、リングの水平・垂直回転の抑止、リングの飛行放物線の高度、スピンの有無、リングの握り方、 リングの輪投げ台の傾斜度に合わせた落下面の投輪(必ずしも地上水平落下ではない)、投輪フィニッシュ時の肘・手のひらの位置・向き(握手型・上向き・下向き)、 手首の使い方等、練習により自分に最適な方法をマスターする必要があります。 ■ 横投げ(Side flip throw): フライニング ディスク(フリスビー)の 'Backhand throw' のような投げ方で、人差し指をリングに添える 'Classic grip' と添えない 'Power grip' がありますが、 長所はリングが地平面に対してリリーズ時の状態を維持して飛ばす事ができます。又、リリーズ迄のストローク距離が長くとれるので遠くに投げるに適しています。 フリスビーでは水平一直線に投げますが、輪投げでは放物線状に投げる必要から初心者の中にはリングを45度程傾けて引き上げるようにしてリリーズする人がいますが、 リングは常に地面に平行のままで引き上げるようにして下さい。45度の傾斜があるとリングの落下有効面積が半分になり、成功率も半分に減ってしまいます。 短所は投輪ラインが斜めになるためコントロールが少し難しくなります。水平面のスピンはかけ安い投げ方ですが、これにも長所・短所があり初心者はスピンをかけると飛方向のコントロールが 難しくなりやすい。上級者にはスピンによる遠心力を利用してリングの飛行面を安定させる効果を狙う人もいます。 ■ 正面投げ(Center flip throw): この投輪方法での長所は、リングが投輪ライン上にあり飛距離だけのコントロールで良い事と、リングを水平面(厳密には20°傾斜の投輪台面に水平)を維持したまま投げれる事です。 短所としては、リングのリリーズ迄のストローク距離が短いので遠くに投げるには体力がいることです。 ■ 振り子投げ(Pendulum swing throw): この投輪方法での長所は、正面投げと同様リングが投輪ライン上にあり飛距離だけのコントロールで良い事と、振り子の状態からリリーズされるため体力を使わず軽く投げれることです。 短所としては、リングが飛行中 '垂直スピン' が起きることです。落下時のリングの面を水平になるようにコントロールすることは難しく、ほぼ神頼みです。落下時リングが垂直であれば距離が正しくともピンに入る確率はゼロです。 平均値を取ればスピン無しの場合の成功率の半分になります。上級者でなければスピンしないで投げるにはこの投法では容易ではありません。 後もう一つの短所はリングがスピンしながら落下するため、弾力性のある材質で出来ているリングは落下時 '跳ね返り' を起こします。折角ピンに入っても飛び出てしまうこともあります。 振り子投げ・正面投げ・横投げ映像例
振り子投げ(Pendulum swing throw)
![]() ![]() この方(大平太士さん)は3年程前にパーフェクト・ゲーム(300点)達成したそうですが、 その大平さんの「振り子投げ(Pendulum swing throw)」です。(日本ワナゲ協会用具使用-2mの投輪) (田川ライフ) 横投げ(Side flip throw) ![]() ![]() この方は「正面投げ」に近い「横投げ(Side flip throw)」で投げています。足は両足揃えていますが、 膝を使っているので軽く投げても飛距離が出ています。(日本ワナゲ協会用具使用-2mの投輪) (田川ライフ) 横投げ(Side flip throw) (国際輪投げ協会用具使用 - IKIIKI) 正面投げ(Center flip throw)か? 動画ではありませんので、正確な投げ方は分かりませんが、練習中のスナップ写真です。 (国際輪投げ協会用具使用-5mの投輪 - まさじの写真回廊) 「名人」の投輪スタイルの研究拙者は未だ初心者の域を出ない素人のため、名人と云われる人の投輪フォームを参考にさせて頂き、ポイントとなるようなところを拙者なりに整理してみました。参考にさせて頂きましたのは、投輪の大会で数々のタイトルを獲得されておられる植松計邑さんの投輪スタイルです。 投輪法は 'Center Flip Throw' (正面投げ)を用いられているようです。 何分素人のため、重要なポイントが何処なのかも理解していないかも知れません。それをご承知で参考にして頂ければ幸いです。 (兵庫県投輪連盟用具使用-8.5mの投輪 - 神戸市広報) 編者注5:輪投げ投法に関し、インターネット上の各種サイトから参考にさせて頂き、一部転載使用させて頂きました。
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